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製造検査は、検査の完全を期するために上記の項目については製造工程において検査を行うことが肝要であるだけでなく、受検者側から見ても竣工後船舶の出航を目前に控えて一時に精密な検査を受けるよりは、製造に着手した時点から随時検査を受けておく方が便利であることから強制することになった検査である。
また、製造検査を強制されない長さ30メートル未満の船舶であっても、製造者の申請により製造検査を受けることができる。
(7〕予備検査
船舶の一般施設として物件を備え付ける場合に、これを備え付ける船舶が特定しない場合でも。事前に検査を受けることができる(法第6条第3項)。この検査を予備検査という。この予備検査制度は、次の点を考慮して設けられたものである。
(a)船舶に備え付ける物件は、各専門工場において、分業的に製造されているが普通であり、造船所において、そのすべてを製造している例は皆無である。これら専門工場は、船舶所有者又は造船所の注文を待つことなく、自らの生産計画に基づいて、船舶検査の対象となる物件を一定の型式のもとに、多量生産方式によって製造している。したがって、製造者にすれば、その製造中に検査を受けることができ、船舶に備え付ける以前に、技術上の基準に連合しているとの証明を得ることができれば、取引上非常に便利であり、一方、需要者である船舶所有者又は造船所にとっても、予め管海官庁又は日本小型船舶検査機構において、合格の証明を得たものを船舶に備え付けることができることになり、工程の合理化、検査期間の短縮等を図ることができる。
(b)製造検査、定期検査等においては、物件を製造中から検査を行うものである。したがって、予備検査の制度がない場合には、専門工場で製造した物件を購入して、船舶に備え付けることが事実上不可能となり、産業の発展を阻害することばかりでなく、また、機関、電気設備等特定の物件の工事は、船体の工事期関よリ長期間を要するものがあり、船舶の完成を遅らせることになる。予備検査の対象となる物件(製造中に係るもの。)は、次のとおりである(施行規則第22条)。
(i)船体に係る物件で次に掲げるもの
(イ)小型船舶の船体

 

 

 

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